よくいただくご質問の中に、主婦(夫)の方のパート年収をいくらにするかという話があります。
扶養内や配偶者控除等を含めた話になるのですが、「こんな主婦(夫)の方は自分でパート先で社会保険に入った方がいいですよ」というのが今日のお話です。
で、どんな方かと言うと、世帯主が自営業で国民年金&国民健康保険に加入していて、その配偶者の主婦(夫)がパートをしている場合です。
なぜかと言いますと、国民年金・国民健康保険には扶養という概念がないからなんですね。
健康保険や厚生年金の場合は、扶養配偶者は保険料(掛金)は必要なく、健康保険等に加入することができます。
しかし、国民年金は夫婦それぞれが別々に掛金を払って加入し、国民健康保険も世帯で加入はするものの、夫婦それぞれに均等割という加入する人(被保険者)が負担する保険料(掛金)が必要となるためです。
ですので、世帯主が自営業で国民年金&国民健康保険に加入していて、その配偶者の主婦(夫)がパートをしている場合はパート先で社会保険に入った方がお得ですよという話です。
で、具体的にどれぐらいお得かをお金(保険料)で見ておきたいと思います。
【年収100万円でパート先に社会保険に入らない場合】
国民健康保険(令和3年・名古屋市在住・39歳までの方):54,100円/年
国民年金:199,320円/年
合計:253,420円
【年収105.6万円(月収88,000円)でパート先で社会保険に入る場合】
健康保険(愛知県健康保険協会・39歳までの方):52,320円/年
厚生年金:96,600円/年
合計:148,920円
上記のようにギリギリ社会保険に入らない場合とギリギリで社会保険に入った場合で比較しますと、ギリギリで社会保険に入った場合の方が健康保険と年金を合わせた社会保険料の負担は年間10万円ほど少なくて済むことになります。
さらに、パート先で社会保険に入る場合は厚生年金ですから、将来もらえる年金としては国民年金+厚生年金となるため増えますし、国民健康保険ではなく健康保険に自身で加入するため、傷病手当金や出産手当金の給付対象にもなりますので、社会保障の充実も手にすることができます。
ですので、世帯主の方が自営業で国民年金&国民健康保険に入っていて、その配偶者がパートに行くという場合は、是非、パート先で社会保険に加入されることをお勧めします。
パート先で社会保険に入るには
次の①か②のどちらかに該当する場合はパートでも社会保険に入る必要があります。
①1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の場合
例:正社員が週40時間勤務(8時間×5日)なら、週30時間以上のパート勤務
②以下の5つの要件を満たす短時間労働者に該当する場合
1.週20時間以上勤務
2.月額賃金8.8万円以上
3.勤務期間1年以上見込み
4.学生ではない
5.従業員 501人以上の企業
※上記5つの要件は2022年10月以降改正がありますので、こちらのコラム記事『【徹底解説】パート年収の壁「103万円」「106万円」「130万円」「150万円」「201万円」』にてご確認ください。
ご参考まで。
社会保険労務士&ファイナンシャルプランナー 廣江 淳哉