【年収130万円の壁】対策法案!!その内容&「年収130万円の壁」でよくあるご質問にもお答えします!
特に、ここ最近、手取り収入を増やす政策として「年収103万円の壁」を引き上げるというのが大変注目されていますね。
一方で、都道府県など自治体の長が「減収になるから賛成できない」なんてニュースもありますので、どういう決着になるのでしょうね。
2つ前の動画になりますが、「年収103万円の壁が178万円になったら」というお話や1つ前の動画では厚生労働省が年収の壁106万円の収入要件撤廃を検討しているという話もしました。
そして今回は、社会保険の壁「年収130万円」について、対策法案が衆議院に提出されたというニュースが入ってきました。
個人的には、一番気になっている年収の壁でもありますので、そもそも年収130万円の壁とは何か、そして提出された法案の内容ってどんなものかなどをお伝えしていきたいと思います。
あくまでも法案が提出されたという話で、決定とかではありませんので、その点も含めて、ご覧いただければと思います。
「年収130万円の壁」とは?
さて、まず「年収130万円の壁」の確認からしておきたいと思いますが、これは、健康保険に加入している世帯主の配偶者や子どもなど一定の親族が、扶養家族として加入できるかどうかの年収基準のことを言います。
被扶養者と言いますが、要は扶養家族として健康保険に加入できますと、保険料はかからずに保険証がもらえて、病院などで診察が自己負担3割などで受けられますので、大変お得ですよね。
さらに、扶養家族が配偶者の場合ですと、公的年金制度の方で第3号被保険者となり、国民年金保険料の負担がなく、加入できますので、かなり有難い制度ですよね。
令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円ですから、これを自身で払う必要はなく、払った人と同じ年金額を将来受け取れるわけですからね。
この公的年金の第3号被保険者について、今日のテーマではありませんからここまでにしておきますが、いずれ制度改正などがあるかもしれないなぁと個人的には感じています。
いつの時点で130万円を超えるかどうかを判断するのか?
さあ、「年収130万円」について話を戻しますが、年収130万円をどう考えたら良いかという質問をよくいただきます。
いつの時点で130万円を超えるかどうかを判断するのかという質問です。
お答えとしましては、1月~12月までの1年間などではなく、これからの年収が130万円以上となるかで判断がされます。
例えば、被扶養者の人が今月から月12万円の給与見込みでパートとして継続的に働くとします。
このケースで、収入合計が130万円以上になるまで扶養内で継続できるかというと違います。
月給12万円でずっと働くのであれば、年収見込が130万円以上になりますので、働き始める時点でもう扶養内からは外れて、自身で健康保険や公的年金に加入しないといけなくなります。
また、年収130万円を月換算すると10万8333円となりますが、いつもは月10万円以下のお給料なのに、たまたま残業等で10万8333円を超えてしまった場合はどうなるかというご質問もいただきます。
これは、たまたま1カ月だけなら、扶養内継続で特に問題はないと考えます。
しかし、何カ月も継続的に10万8333円を超えているなら、扶養内から外れて、自身で健康保険や公的年金に加入する必要があります。
特に、健康保険組合とかですと、10万8333円を3が月連続で超えると扶養内から外れてくださいとか、明確にホームページなどに掲載されていたりもしますので、気になるという方は加入中の健康保険に確認してください。
130万円の収入に、通勤手当は含みますか?
あと、130万円の収入に通勤手当は含みますかという質問もありますが、「含み・・・ます」。
通勤手当も含めて年収130万円、月10万8333円ですので、ご留意ください。
今回、提出のあった対策法案の内容は?
さて、こんな年収130万円の壁ですが、今回、提出のあった対策法案では、130万円を超えて社会保険に加入する人に、社会保険料の自己負担分を給付金で手当てするという内容だそうです。
年収130万円の段階で約30万円給付がされ、年収の増加に応じて、徐々に給付額が減り、年収200万円でゼロになるような制度設計のようです。
対象は356万人で、給付に必要な財源が7,800億円だそうです。
ただ、個人的には、なぜに給付金!!って、正直思いました。
単純に、130万円の年収基準を引き上げるか、それが現在既に加入している人の扱いで困難なら、対象者の自己負担額をゼロにしたり、率を下げたりすれば良いのになぁと思った次第です。
というのも、健康保険や厚生年金といった社会保険料は、標準報酬月額というので決まっています。
こちらが全国健康保険協会愛知支部の令和6年度の表です。
簡単に見方をご説明しますと、「報酬月額」の欄をご覧いただきますと、金額の幅がありますよね。
例えば、上から7つ目は107,000円以上、114,000円未満となっていますが、月収がこの金額の範囲の人は、その左隣の標準報酬月額110,000円で一律に社会保険料を計算しますという、社会保険料の計算を簡易にする仕組みなんですね。
で、年収200万円までの人を支援するというなら、例えば標準報酬月額16万円までの人は自己負担ゼロ、あるいは率を下げたりすることで、給付にかかる事務コストも不要で済みますよね。
給付だとまずは社会保険料を働いた人が払うわけですから、所得税などを計算するときの社会保険料控除でもややこしくなりますよね。
ただ、今回はここまでにしたいと思いますが、国民年金の第3号被保険者である被扶養者だけではなく、国民年金の第1号被保険者にも合わせて給付がされるような法案とのことですので、年収130万円の壁に対する法案、これから色んな議論がされるでしょうから、引き続き、注目をしたいと思います。
なお、もし仮に、この年収130万円の壁自体が引き上げられるとなった場合ですが、年収106万円の壁で社会保険に加入しないといけないわけですから、引き上げでは対象になる人が限定されますので、130万円と106万円の社会保険の壁はセットで検討してもらいたいとも思います。
年収103万円の壁を引き上げることで、非常に得するのは収入の高い人ですから、それはそれで良いとして、それほど収入は高くなく、家事・育児・介護等とのワークライフバランスを保ちながら、可能な範囲でパート等をしている人も手取り収入が増えたりして恩恵を受けられる制度に合わせて改正等がされるといいですよね。
ということで、本日は、年収の壁130万円の対策法案が出たということで、その内容と年収130万円の壁についてお伝えしました。