【パートで社会保険&扶養内の働き方】同居?!別居?!収入超過?!「年収130万円の壁」に確認が入る!!社会保険扶養内基準

扶養内の年収の壁が「103万円」「106万円」「130万円」などと言われたりしていますが、これらの年収額を意識してお仕事をしている方もたくさんいらっしゃると思います。

そこで、今回は、年収の壁「130万円」を特に意識している方に、全国健康保険協会(以後、「協会けんぽ」と呼ばせてもらいますが)協会けんぽの被扶養者再確認業務というものについてお話をしたいと思います。

なお、最後には、改めまして社会保険の被扶養者の認定要件につきましてもお伝えしますので、現在、パートやアルバイトなどをしている、あるいは、これからパートやアルバイトをしようと思っているけれども、社会保険は世帯主などの扶養内が良いという方は、是非、最後までご確認いただきたいと思います。

被扶養者資格の再確認

協会けんぽでは、健康保険の被扶養者となっている方が、現在も被扶養者の要件を満たしているかを毎年度確認していまして、それが「被扶養者資格の再確認」と呼ばれるものです。

その目的は、保険給付の適正化だそうです。

要は、被扶養者というのは保険料の支払いは不要、つまり、ある意味、無料で健康保険に加入できるわけなのですが、その被扶養者の要件をもう満たしていないのに、被扶養者として協会けんぽに加入したままになっていますと、その人が病院等を受診した場合に、協会けんぽにとっては本来、不要な負担が生じるということです。

病院などで診察等を受けた際の医療費は、自己負担と協会けんぽなどの健康保険負担があり、仮に自己負担が3割なら、協会けんぽ負担は7割ですから、保険料が無料の被扶養者は、要件を満たさなくなったら早く抜けてもらわないと・・・ということなんですね。

「被扶養者資格の再確認」の実施時期

さて、その「被扶養者資格の再確認」の実施時期ですが、10月上旬から10月下旬にかけて、事業主(以後、お勤め先と言いますね。)、そのお勤め先に「被扶養者状況リスト」というのが協会けんぽから送られて、実施されます。

「被扶養者状況リスト」というのは、文字通り、被扶養者の一覧なのですが、氏名や生年月日だけではなく、確認区分という項目がありまして、「同居」「別居」や「収入超過」などの情報が記載されています。

その再確認の対象となる被扶養者は、4月1日において、18歳以上である被扶養者の方々ですが、4月1日以降に被扶養者となった方・任意継続健康保険の被扶養者の方は、確認の対象外となります。

また、確認方法は、お勤め先より被保険者である皆様方に対して、対象の被扶養者の方が健康保険の被扶養者要件を満たしているかを確認し、お勤め先の担当者が被扶養者状況リストに確認結果を記入して、協会けんぽに提出するという流れになります。

そして、世帯主などの被保険者と別居している被扶養者、海外に在住している被扶養者については、被扶養者要件を満たしていることが確認できる書類の提出も求められます。

具体的には、学生の方を除きますが、世帯主などの被保険者と別居している被扶養者の場合は、「仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類」です。

海外に在住している被扶養者は、海外特例要件に該当していることが確認できる書類、外国において留学をしている学生の場合は、ビザや在学証明書の写し、外国赴任の被保険者に同行する人はビザや海外の公的機関が発行する居住証明書の写しなどが必要となります。

確認の結果、扶養解除となる被扶養者がいる場合は、被扶養者調書兼異動届というものを記入し、保険証と併せて提出することになりますが、決定通知書がお勤め先に届くのには1~2か月程度かかることがありますので、急ぎの場合は、被扶養者異動届を日本年金機構事務センターへ直接提出することもできます。

これら被保険者等への確認作業が完了しますと、リストや確認書類等を11月末までに、お勤め先から協会けんぽに提出することになっています。

「年収の壁・支援強化パッケージ」?!

そして、少しご留意いただきたいのが、昨年、厚生労働省より「年収の壁・支援強化パッケージ」というのが示され、一時的な収入増加である旨の事業主証明書を提出することで、年収が130万円を超えていても、健康保険側が認めてくれれば、引き続き被扶養者となることができるという仕組みができました。

詳しくは、こちらの動画で解説していますので、是非ご覧ください。

【解説】2023年10月~「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」年収130万円を超えても扶養内OK!?ダブルワークだとどうなる!?どんな働き方の人が対象になるの!?

そして、今回ご説明の協会けんぽの「被扶養者資格の再確認」において、リストや各種証明書類の提出時に「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書も併せて提出するようにしてください。

さあ、ここまでよろしいでしょうか。

社会保険の被扶養者の認定要件

それでは最後に、改めまして、日本年金機構のホームページにも記載がありますが、社会保険の被扶養者の認定要件について確認しておきましょう。

被扶養者になるには、日本国内に住所があり、世帯主などの被保険者により主として生計を維持されていること、さらに「収入要件」と「同一世帯の条件」のいずれにも該当する必要があります。

「収入要件」とは、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)で、かつ、同居の場合は収入が世帯主などの被保険者の原則半分未満、

別居の場合は収入が世帯主などの被保険者からの仕送り額未満であることです。

なお、よく質問をいただきますが、年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。

収入がパート先からの給与のみの場合ですと、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たすと考えられます。

少し細かな話になりますが、収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご留意ください。

もう1つの「同一世帯の条件」ですが、被扶養者になるために、世帯主などの被保険者との関係において、同居が必要な人と同居が不要な人がいるという意味です。

まず、同居が不要な人は、配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属です。

そして同居が必要な人は、今申し上げた同居が不要な人以外の3親等内の親族、つまり、伯叔父母、甥姪とその配偶者などや、内縁関係の配偶者の父母および子となります。

協会けんぽの被扶養者になるには、日本国内に住所があり、世帯主などの被保険者により主として生計を維持されていて、さらに「収入要件」と「同一世帯の条件」のいずれにも該当する必要がある点をご確認ください。

ということで、今回は、協会けんぽの被扶養者再確認業務についてお話してきました。

今後の働き方のご参考になさってください。