【40代50代必見!!】親の介護と仕事を両立するために/介護休業・介護休業給付金、介護休暇等制度

親の介護が必要になった場合に、親の介護と自身の仕事を両立していくために活用できる制度について、介護休業・介護休業給付金、介護休暇等の各種制度のお話をしていきたいと思います。

介護離職の割合

まず始めに、親の介護が必要になった場合に、親の介護と自身の仕事を両立していく必要性と言いますか、その背景を少しお話したいと思います。

こちらの表をご覧ください。

離職理由別離職者の割合
離職理由別離職者の割合(令和3年)

厚生労働省の雇用動向調査というのがありまして、その令和3年のものになりますが、離職理由別離職者の割合の表です。

右から3つ目のところに、「介護・看護」という項目があり、年齢や性別による割合もありますが、男性も女性も40代・50代で「介護・看護」が理由で離職、つまり仕事を辞めている人の割合が高いですね。

なお、全体では1.3%だそうですが、1.3%と言いますと、皆さんはどんなイメージでしょうか。

割合としては、それほど多くはないのかもしれませんが、令和3年の年間離職者数は717万2500人だそうですので、その717万2500人 × 1.3%をしますと、約9.3万人となります。

毎年10万人弱の人が介護などが理由で仕事を辞めているとすると、結構多いなという感じがあるのは私だけでしょうか。

もちろん、どうしようもなくて、親の介護のために仕事を辞めざるを得ないということもあると思いますが、仕事を辞めるというのは最終手段にしていただいて、まずは仕事を辞めずとも介護をして行ける介護体制作りをしていってもらいたいと、ファイナンシャルプランナーとしても感じています。

と言いますのは、介護というのはどれぐらいの期間になるか分からない部分がありますよね。

長い場合では10年を超えることもあるでしょうし、短い場合では数カ月や数年ということもあるでしょう。

毎年10万人弱の人が介護などが理由で仕事を辞めているわけですけど、大半は40代・50代でした。

収入で言うと一番高くなる、ピークを迎える頃に仕事を辞めてしまっていることにもなりますので、将来の年金額もその分少なくなってしまいますし、介護が終わった後にすぐ仕事に就けるかというと難しいかもしれないし、介護を始める前のような収入は確保するのは容易ではないとも思います。

親の介護のために仕事を辞めて収入が減る。介護が終わった後も収入が無かったり少なかったりする・・・介護をする人自身の将来のライフプランに大きな影響を与えますよね、介護離職は。

ですので、親の介護のために仕事を辞めるのは最終手段として、なるべく仕事を辞めずに介護ができる介護体制作りをしてもらいたいと感じています。

さあ、前置きが長くなりましたが、仕事を辞めずに介護をしていくために、利用できる制度等についてお話をしていきます。

介護休業について

1つ目は、介護休業という制度です。

労働者が要介護状態にある対象家族を介護するために取得できる休業のことです。

少し補足をしておきますと、要介護状態というのは負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を言います。

また、対象家族というのは、事実婚を含む配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫を言います。

配偶者の父母も含んでいるというのは1つのポイントかもしれませんね。

そして、何日間休業できるかですが、対象家族1人につき 3回までの通算93日休業が取得できます。

1回で連続して93日取得することもできますし、3回に分けて31日ずつを3回とかも可能ですし、1回目と2回目は40日ずつ、3回目は残りの13日とかでも取得できます。

色々な形で介護休業は取得できますが、例えば、介護が必要になった最初の段階、介護体制作りでまとめて取得するのも1つの方法かと思います。

周りの家族とどうやって介護をしていくのかの相談や誰が介護サポートができるのかの確認、施設介護にせよ在宅介護にせよ、介護プランを作ってくれるケアマネジャーという方との相談、介護サービスを提供してくれる事業者等との相談や契約など、介護が始まる頃は考えること、やることがたくさんありますので、その期間にまとまって介護休業を取得するのも良いかと思います。

少し細かな話になりますが、介護休業の終了日の繰下げ変更、要は延長ですが、法律では介護休業1回につき1回の変更は認めないといけないとなっていますので、介護休業を申請したけど、延長したいとか、逆に仕事復帰を早めたいとかありましたら、会社の方に相談をしてください。

また、介護休業中のお金のこともお伝えしておきたいと思います。

仕事を休んでいるわけですから、会社から給料がもらえないことが多いかと思います。

でも安心してください。

雇用保険より介護休業給付金がもらえます。

いくらもらえるかと言いますと、「休業開始時賃金日額× 67%×支給日数」です。

休業開始時賃金日額というのは、休業に入る前6カ月間の賃金を日割りにした額のことですので、休業前6カ月の「平均日給」と言いますとイメージしやすいでしょうか。

この、いわゆる平均日給の67%が介護休業を取得した日数分、最大93日分、雇用保険からもらえるということです。

雇用保険からもらえる制度ですので、雇用保険の加入者であり、かつ介護休業を開始した日前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要となることと、休業開始時賃金日額を計算する場合は、税金や社会保険料が差し引かれる前の「額面」収入で、そして賞与・ボーナスは除いて計算されることとを申し添えます。

介護休暇について

さあ、続きまして、仕事を辞めずに介護をしていくために利用できる制度の2つ目としまして「介護休暇」についてお伝えしていきます。

これは、労働者が要介護状態にある対象家族の介護や世話をするために取得できる休暇です。

対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日まで、1日単位または時間単位で取得できます。

原則、時間単位でも取得ができますから、親を病院に連れていく午前の数時間だけとかでも取得が可能です。

また、介護休暇は年次有給休暇とは別に取得でき、有給か無給かは、会社の規定によりますので、一度ご確認をしてみてください。

これら介護休業や介護休暇は法律で決まっている制度ですが、それ以外にも介護をしている労働者を支援する法制度としまして、本人が申し出ることで残業や深夜業の免除が定められたりしています。

他にも事業主に、短時間勤務等の措置も求めています。具体的に言いますと、「短時間勤務制度」「フラックスタイム制度」「時差出勤制度」「介護サービス費用の助成」のいずれかの措置をしないといけないというルールになっています。

なお、本日お話したこれらの制度は法律で決まっていますから、「わが社には介護休業はありません」などということはあり得ませんし、正社員だけではなく、派遣社員やパートの方も原則取得できる制度です。

ただ、日雇い労働者は対象外であったり、介護休業については、派遣やパートなどで契約期間が決まっている有期契約労働者の場合は、介護休業の取得予定日から93日を経過する日から6カ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新がされないことが明らかでないことという要件があったりすることはご留意ください。

自分の場合はどうなるか確認しておきたいなぁという方はお勤め先や介護休業関連は各都道府県の労働局が管轄ですので、お問い合わせをされると良いかと思います。

ということで本日は、介護離職は最終手段として、なるべく親の介護と仕事を両立していく介護体制作りに活用できる各種制度、介護休業・介護休業給付金、介護休暇等のお話をしてきました。

【40代50代必見!!】親の介護と仕事を両立するために~介護休業・介護休業給付金、介護休暇等制度~親の介護に備えるために