今回は、親子で住宅ローンを借りて返済していく、親子ローンについてです。2024年02月22日(木)に中日新聞・東京新聞の「親子ローン」に関する取材協力記事が掲載されました。今回はその取材を受けた際に、私自身も改めて親子ローンについて整理をし、取材記事では載り切らなかった情報などもありますので、詳しくお話をしていきたいと思います。

【親子で住宅ローン】「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の違いは!?団体信用生命保険・住宅ローン控除はどうなる!?

親子ローン=二世帯住宅!?

まず、親子で住宅ローンを借りるケースというのは、二世帯住宅などをイメージする人が多いと思います。

当然ながら家を買ったり、建てたりする人じゃないと住宅ローンは原則、利用できませんので、親と子で住宅ローンを借りるということは親子が住む二世帯住宅というのが一番想像しやすいですよね。

実はそれ以外にも、実際に親か子のどちらか一方しか住まないケースでも、親子ローンというのが利用できることもあります。

例えば、子が家を買うけど、年収がそれほど高くなく、大きな金額の住宅ローンを借りることができない場合に、親が一緒に借りてあげるというケース。

収入合算なんて言われたりしもしますが、子の収入に、親の収入も足して、銀行など金融機関の住宅ローン融資の審査を受けるということです。

なお、子が住む家に、親の収入も合算して住宅ローンを借りる場合には、親もその分、持ち分を持つ必要があります。

持ち分というのは、所有権のことです。

また、逆に、子は住まずに親が住む家に、親子で住宅ローンを組むという場合もあります。

「親子ペアローン」と、「親子リレーローン(あるいは親子リレー返済)」とは?

そして、今、親子ローンと言っていますが、実は2種類あります。

「親子ペアローン」と、「親子リレーローン(あるいは親子リレー返済)」と呼ばれるものです。

さきほど申し上げた、親子のどちらか一方しか住まないケースは、親子リレー返済でしたら、そういうケースもあり得ると考えます。

それでは、「親子ペアローン」と、「親子リレーローン・リレー返済」について比較をしながらご説明していきます。

「親子ペアローン」について

まず、大きく違う部分としては、住宅ローンの数なんですね。

「親子ペアローン」は2本です。

親と子が1本ずつ住宅ローンを借ります。

それに対して、「親子リレーローン・リレー返済」は住宅ローン1本なんですね。

これ非常に重要な違いですよ。

「親子ペアローン」は親と子が1本ずつ住宅ローンを借りますので、住宅ローンは2本になりますね。

ですから、住宅ローンを借りる際にかかる諸費用も、住宅ローンが1本の場合よりも高くなり得ますね。

また、親と子がそれぞれ住宅ローンを借りるわけですから、親子それぞれが住宅ローンの借入要件を満たす必要もありますね。

借入期間

例えば借入期間。

住宅ローンの借入期間は一般的には80歳までですから、仮に親が60歳となりますと、親が借りる分の住宅ローンは最長で20年の借入期間となりますね。

もちろん子が借りる方は子の年齢で借入期間が決まりますので、親が20年の借入期間であったとしても、子の方は35年とかの借入期間を選択することも可能です。

団体信用生命保険

他には、団体信用生命保険も確認しておきたいポイントですね。

「団信」なんて呼ばれたりもしますが、住宅ローンを借りた人が加入しないといけない保険です。

この団信に加入していると、住宅ローンを借りた人が亡くなった際に住宅ローンを返さなくてよくなる、そんな保険ですね。

「親子ペアローン」は親と子が1本ずつ住宅ローンを借りますので、それぞれで団信も加入しています。

ですから、親が亡くなった場合は、親が借りた分の住宅ローンは返済が必要なくなりますが、子が借りている住宅ローンについては、その際も引き続き、返済をしていく必要があるということになります。

あと、住宅ローン控除も、親子それぞれが住宅ローンを借りているわけですから、控除対象者になり得ますね。

「親子リレーローン・リレー返済」について

続きまして、住宅ローンが1本になる「親子リレーローン・リレー返済」についてもお話をしていきます。

仕組みからお話をしますと、住宅ローンは1本ですから、親子の収入を合算して借入額などの審査を受けることになります。

そして、親子のどちらかが主債務者となり、もう一方が連帯債務者となります。

どちらが主債務者になっても、どちらが連帯債務者になっても住宅ローンを借りることができますが、一般的には、持ち分が多い方が主債務者となるでしょう。

その持ち分をどうするかという話もありまして、二世帯住宅の場合は、収入が多い方が持ち分をたくさん持って主債務者となることもあるでしょうし、相続等も考えて持ち分割合を決めるということもあるでしょう。

また、注意点としまして、連帯債務者の収入を合算する際に100%見てくれるかどうかという点があります。

例えば、60歳を超えているような親が連帯債務者になる場合ですと、収入は半分の50%だけ主債務者となる子の収入に合算できるとか、親が年金をもらっている場合は、年金は収入として扱わない、つまり収入合算できないという金融機関もあったりしますので、よく確認いただく必要があると考えます。

そして、住宅ローンの返済は、住宅ローン自体が1本ですから、返済の引落の口座も1つとなります。

二世帯住宅などでよくあるケースは、まず親が返済をしていき、親が亡くなったタイミング等で、子が返済を引き継ぐ、まさに返済リレーするような形です。

さあ、この住宅ローンが1本である「親子リレーローン・リレー返済」について、ポイントをもう少しご説明していきます。

借入期間

まず、借入期間ですね。

借入期間は、親が主債務者で子が連帯債務者であっても、若い、子の年齢で判断しますので、子が何歳かにもよりますが、借入期間35年とかで借りることも可能です。

先ほどの親子ペアローンの場合は、親の分は親の年齢で判断するため、借入期間が短い年数になることもあり得るとお話しましたが、「親子リレーローン・リレー返済」は子の年齢で借入期間が判断されますので、借入額全体を長期返済で借りることも可能だという点が違いとなります。

また、住宅ローン控除についてですが、住宅ローンが1本でも、返済負担割合というのを親子で決めることで、連帯債務者も住宅ローン控除の対象者になり得ますので、借入をする金融機関や、必要に応じて税務署等に確認をしながら進めていただくと良いかと思います。

団体信用生命保険

あと、「団信」についてもお話しておきます。

民間の金融機関の「親子リレーローン」ですと、団信に入れるのは子のみというケースが多いですね。

ですから、親が亡くなっても住宅ローンの借入額は一切減らないということです。

だた、住宅金融支援機構の全期間固定金利「フラット35」の場合は、親が、満80歳までですが、健康状態などの要件を満たすと団信に加入することも可能です。

仮に、親が団信に加入し、満80歳を迎える前に亡くなってしまった場合は、住宅ローン全額が返済免除となりますので、子はその後は一切返済しなくても良いとなります。

ただ、注意点としてはフラット35の場合、団信に加入できるのは1人ですから、親が加入しますと、その間、子は加入できません。

万一、子が先に亡くなる・・・なんてことがありますと、親はその後は一人で返済をしていかないといけませんし、その親が満80歳を超えると団信も切れてしまいますので、返済が大変な状況になることもあり得ますね。

ですので、「親子リレーローン・リレー返済」の場合も「親子ペアローン」の場合も、生命保険で保障の不足部分を補うというのは、安心のために必要になってくるだろうなぁと考えます。

最後に、住宅ローンが1本の「親子リレーローン・リレー返済」の特徴としましては、一緒に親子が住む二世帯住宅だけではなく、冒頭お話しましたが、どちらか一方が住む家の取得の場合にも使えるというのが大きな特徴と言えますので、改めまして申し添えておきます。

まとめ

ということで、本日は、「親子ローン」についてお話してきました。

住宅ローンが2本になる「親子ペアローン」、住宅ローンが1本になる「親子リレーローン・リレー返済」、それぞれの特徴や注意点を踏まえ、親子で住宅ローンを借りる際は選択をしていただければと思います。

【親子で住宅ローン】「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の違いは!?団体信用生命保険・住宅ローン控除はどうなる!?