扶養内パートの年収の質問になると、よく聞かれる「103万円」「106万円」「130万円」の壁について、前回の「103万円」の壁のお話に続き、今回は「130万円」の壁についてお話します。
前回の「103万円の壁」は税金のお話でしたが、今回の「130万円の壁」で問題となるのは、社会保険(健康保険・年金)です。
実は、健康保険の被扶養者の要件に、「対象者の年間収入が130万円未満(同一世帯の場合)」というのがある。
つまり、パート年収が130万円を超えた配偶者は扶養配偶者にはなれず、配偶者自身が自分で健康保険や年金への加入が必要となるということです。
ちなみに、健康保険と厚生年金の保険料率は以下の通り。
健康保険は、健康保険組合が独自であるような大手企業でなければ、全国健康保険協会管掌健康保険(通称、協会けんぽ)に加入することになり、都道府県により両立がことなりますが、愛知県ですと9.91%。もし40歳以上なら介護保険料も含めて払うことになり、健康保険+介護保険で11.71%となります。
厚生年金保険は、18.3%。
なお、健康保険も厚生年金保険も事業主が半額負担してくれるので、実際は上記の%の半分が給与天引きとなります。
仮に一例として、介護保険料がかからない40歳未満の配偶者がパートをして、年収130万円をちょっと超える、月11万円(年収132万円)だとすると、健康保険と厚生年金保険の支払いはどれぐらいになるかというと・・・。
健康保険料 : 11万円 ×9.90% ×1/2 = 5,450円
厚生年金保険料 : 11万円 ×18.3% ×1/2 = 10,065円
毎月15,515円、年間186,180円の支払となりますので、単にその時の手取り収入だけで考えると、ギリギリ130万円を超えない範囲にしておいた方が良いとも言えるかもしれません。
しかし、扶養としてではなく、自身で健康保険や厚生年金保険に入るメリットもあります。
それは、扶養内では対象にならない健康保険の給付(出産手当金や傷病手当金)が対象になったり、厚生年金がもらえるようになったりしますからね。
仮に上記のパート収入、月11万円(年収132万円)で自身で厚生年金保険に入り、月に10,065円の掛金を払った場合、いくら厚生年金がもらえるかと言うと、約603円/年。
1万円はらって、600円しか増えないとなると損のような気もしますが、もらえる厚生年金は65歳以降、毎年もらえます。
ですので、10,065円÷603円≒16.7
つまり、65歳から17年以上、厚生年金をもらえるとお得とも言えるかもしれません。
人生100年時代なんて言いますので、長生きに備え、年収130万円前後のパート収入になりそうなら、あえて130万円を超えて、厚生年金を増やしておくというのも老後への資産形成という点では良いのかもしれないと思います。
ご参考まで。
次回は最後のもう1つの壁、「106万円」について書きたいと思います。