パートなどをされている方で、社会保険は世帯主の扶養内ですと、年収は130万円までに調整をされているかと思います。

いわゆる、社会保険の扶養内年収の壁「130万円」というものですね。

この年収130万円を意識しながらパートなどをされている方から、よくいただく質問として、次の4つがあります。

①月額108,333円を1回でも超えたら扶養外れる!?

②年収130万円を超えても扶養内で大丈夫な人って、どんな人!?

③年収130万円と年収106万円の壁とどちらが優先!?

④今年、もう既に年収130万円以上あるんですけど・・・。

本日は、この4つの質問にお答えしていきたいと思います。

※動画でご覧になりたい方は上記の『FPパパちゃんねる』よりどうぞ。

社会保険扶養内年収の壁「130万円」とは

まず前提としまして、年収130万円というのが何かをご説明しておきますと、社会保険に扶養で入るための要件の1つに年収があり、それが130万円未満となっているんですね。

ですから、年収が130万円以上になりますと、原則的に社会保険に扶養で入ることはできないため、パートなどの収入を年間130万円未満になるように調整したりしているということですね。

質問①収入が月額108,333円を1回でも超えたら扶養を外れますか

この月額108,333円が何を意味しているかはよろしいでしょうか。年収130万円を12月で割った金額です。

つまり、月収が108,333円を一度でも超えると、年換算で130万円を超えるとみなされて、扶養から外されますかというご質問です。

お答えとしましては、私の知る限りでは、ひと月だけでしたら月収が108,333円を超えても扶養から外されるということはないかと考えます。

これは、加入している健康保険の種類による部分もあるので、ご説明します。

健康保険は、一般の方が入っている「協会けんぽ」と呼ばれる全国健康保険協会と、大企業やグループ企業、業界団体などで作っている健康保険組合というのがあります。

特に、後者の健康保険組合で、扶養に入れる人の収入要件に年収130万円未満だけではなく、月収が108,333円を2カ月や3か月連続で超えた場合は、年収が130万円を超えると見なして扶養から外しますという規定を持っているところがあります。

ですので、月収が108,333円を超えるのが、ひと月だけでしたら扶養から外されるということはないかもしれませんが、数カ月連続する場合は、扶養から外される可能性もありますので、世帯主の方がご加入の健康保険に確認するのが一番良いかと思います。

質問②年収130万円を超えても扶養内で大丈夫な人って、どんな人!?

これは、60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害をお持ちの方となります。

ただ、年収がいくらでも良いよというわけではなく、扶養に入るためには130万円未満が180万円未満となるということでのすので、ご参考になさってください。

ここまでよろしいでしょうか。

質問③年収130万円と年収106万円の壁とどちらが優先ですか

年収106万円というのは、実際は月額賃金88,000円でして、月88,000円を年換算すると約106万円になりますので、年収106万円の壁と言われたりもしています。

なぜかと言いますと、「短時間労働者の社会保険の適用拡大」と言いまして、次の5つの要件を全て満たしたら、パート先で、自身で社会保険に入らないといけなくなるという制度があります。

その5つの要件というのが

1つ目が1週間の労働時間が20時間以上の人

2つ目が月の賃金が8万8000円以上の人

3つ目が2カ月を超える雇用の見込みである人

4つ目が学生でないこと

5つ目がパート先の従業員規模が501人以上の企業であること

この2つの目にお伝えした要件に賃金月額88,000円以上がありますので、年収106万円と呼ばれたりするんですね。

また、今申し上げた5番目の従業員規模501人以上が今年2022年10月からは101人以上に、2024年10月からは51人以上に変わりますので、ご留意ください。

さて、ご質問に戻りますが、この短時間労働者の社会保険適用拡大である、いわゆる「106万円の壁」と、世帯主の社会保険の扶養に入れる年収130万円未満はどちらが優先されるのかということです。

例えでご説明しますと、パートをしていて、短時間労働者の社会保険適用拡大の5つの要件全てに該当し、年収が120万円になるとします。

その際、パート先で社会保険の加入は断って、世帯主の扶養内で社会保険に加入しておくことはできるのかということなんですね。

答えは、できません。

短時間労働者の社会保険適用拡大に該当する場合は、社会保険にパート先で加入することになるからです。

ですので、短時間労働者の社会保険適用拡大に該当する場合は、社会保険の観点からは年収130万円未満にしておく必要もないと言えるかと思います。

質問④今年、もう既に年収130万円以上あるんですけど、扶養内で社会保険に加入できますか

ご質問の状況としましては、今まで正社員やパートなどで自身で社会保険に加入しながら働いてきた。でも、もう仕事を辞めたり、セーブしたりして、社会保険は世帯主の扶養内にしたいけど、今年1月から今までの収入が130万円を超えてしまっているので、今年は世帯主の扶養内で社会保険に加入できませんかということです。

回答としましては、これからの収入が年間130万円以上とならないのなら、加入できるでしょう・・・となります。

要は、年収130万円未満というのは、1月~12月ではないということです。

今から1年間でどうかということですので、今までは関係ありません。

なお、注意していただきたい点としましては、退職される場合です。退職後にもらえる雇用保険からの失業等給付。いわゆる失業保険が、社会保険の扶養内年収の要件である130万円を判断する際には、収入と見なされますので、ご注意ください。

なお、この収入に入るもの、入らないものに関しましては、今回の社会保険の扶養内もそうですし、税金の方も含めまして、扶養内を意識してパートをされる方向けに、こちらの動画で解説をしています。よろしければ、合わせて、こちらもご覧ください。

ということで、本日は社会保険の扶養内年収の壁「130万円」につきまして、4つのご質問にお答えしてきました。

是非、今後の働き方の参考になさってください。

社会保険労務士&ファイナンシャルプランナー 廣江淳哉