今回は、扶養内の子どもの年収というテーマでお届けしたいと思います。

特に、お子様が大学生とかでアルバイトをしている。そして夏休みにガッツリ働いて、かなり収入を得たので、このままだと扶養内でいられないんじゃないかと、ご心配の方もいらっしゃると思うんですね。

その辺りの扶養内の仕組み等を解説していきますので、扶養内のお子様がいらして、そのお子様がアルバイト等を頑張って、そこそこの収入を得ているという方は是非ご覧ください。

「扶養内」とは?

さて、扶養内と言いますと、2つの視点があるかなぁと思います。

1つ目は社会保険の扶養内ですね。世帯主の方が被保険者で、その家族として健康保険に加入するケースです。

そして、もう1つの扶養内は税金の扶養内についてです。税金の扶養内は、正確に言いますと税金の扶養控除の対象になるかどうかと言えると思います。

なお、私は税理士ではありませんので、税金の個別具体的なご相談やご質問にはお答えできません。

今回のコラムでも、一般的な仕組みや考え方についてのみ、ご説明しますので、ご承知おきください。

国民健康保険

では、まず健康保険を中心に、社会保険の扶養内からお話していきます。

世帯主の方がどの健康保険に加入しているかにもよる部分があります。

例えば、世帯主の方が自営業者で、市役所等で国民健康保険に加入している場合ですが、国民健康保険には扶養家族という考え方がないんですね。ですから、お子様自身も世帯主の方と一緒に被保険者として国民健康保険に加入することになります。被保険者として国民健康保険に加入しますので、保険料を計算する際には、均等割と言って被保険者の数によって計算される部分ではお子様も1名として保険料負担が生じることになります。

実際には、世帯主の方がまとめて保険料を払いますので、お子様自身が直接的に保険料負担をしているわけではないでしょうが、世帯主の方が払う保険料に含まれているということです。

なお、国民健康保険の保険料は、被保険者の数で保険料を計算する「均等割」と呼ばれるものと、収入に応じて保険料が計算される「所得割」というものがあります。

この収入に応じて保険料が計算される「所得割」というのは、前年の年収、正確には前年の所得、所得というのは税金を計算する上で収入から控除を引いたものを所得と言いますけれども、この前年の所得に応じて保険料が計算される部分も国民健康保険にはあるんですね。

ポイントは前年の所得という点です。

例えば大学4年生で、来年からは就職して、自身でその就職先で健康保険に加入するような場合ですと、大学4年時のアルバイト年収が多くなっても、その年の国民健康保険の保険料には影響はしないと言えますね。

ちなみに、保険料の計算は毎年6月に前年の所得を踏まえてされ、遡って4月から翌年3月までの年度単位12カ月分の保険料が決まり、世帯主に通知されます。

口座振替などですと、6月から翌年3月までの10カ月で、1年分を払う形になります。

どうぞご参考になさってください。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

そして、続きまして、世帯主の方が会社員で、健康保険は協会けんぽと呼ばれる全国健康保険協会の健康保険にご加入の例でご説明していきます。

お子様を扶養家族として、同じ健康保険に入れることで、お子様自身の健康保険料はかからなくなりますから、扶養内に入れるメリットがあるわけですね。

ただ、親族を健康保険の扶養に入れる場合には、次の年収の要件があります。まず、全国健康保険協会のホームページにも掲載されている説明文を全文読み上げますね。

【認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。どういうことかと言いますと、1月~12月までの1年間の収入合計を130万円未満にしておいたら良いということではない点なんです。

なお、上記に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります。

【認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。

全国健康保険協会のホームページより(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sbb3163/1959-230/

ホームページに掲載されている説明は以上ですが、世帯主である被保険者の年間収入の2分の1未満とかもありますが、よく質問等を受けるのは扶養に入っている子どもの年間収入を130万円未満にしておく必要があるという点についてですね。

どういうことかと言いますと、1月~12月までの1年間の収入合計を130万円未満にしておいたら良いということではない点なんです。

年間130万円を月換算しますと、108,333円となりますね。この108,333円以内に毎月の収入を抑えておく必要が原則的にはあると考えます。

というのは、毎月の収入がこの108,333円を3カ月も4か月も連続して超えるのなら、年間収入の見込みで130万円を超えることから、扶養からは外れることになりますというのが1つの考え方なんですね。

例えば、1月から10月まで毎月12万円の収入、10カ月なのでこの時点で120万円。そして、11月と12月は、4万円ずつの収入に調整したとしたら、1月~12月までの1年間の収入は128万円になりますから、年収130万円未満となりますね。

この働き方をしたお子様がいたとして、健康保険は扶養内で継続できるか、絶対に扶養内で問題ないか聞かれましたら、私はYESとは答えられないです。

扶養に入っている家族である被扶養者の状況を確認する「現況申立書」などは年収を書きますので、もしかしたら継続的に扶養内でいられるかもしれませんが、正しい状態どうかで言いますと、先ほどの働き方で扶養内というのは正しい状態ではないと考えるからです。

ちなみに、たまたま1カ月だけシフト増や残業で月収108,333円を超えたとしましても、即、扶養内から抜けないといけないというわけではありません。

ですので、夏休みの時期だけお子様がアルバイトをガッツリして、8月の収入が15万円、20万円と一時的になっても、9月以降の収入を抑えて、月108,333円を超えず、年間収入も130万円未満でしたら、扶養内で継続できるかと思います。

ここまでが社会保険の扶養内についてでしたが、よろしいでしょうか。

税金の扶養内

続きましては、税金の扶養内についてお話したいと思います。

これは、世帯主の方が所得税などを計算する際に、扶養控除の対象にお子様を入れられるかという話になります。

扶養控除の対象になる親族の要件の1つに、年間の合計所得金額が48万円以下であることというのがあります。

所得というのは、所得税などを計算するときに使われるもので、収入から控除を差し引いたものが所得になります。

この年間の合計所得金額48万円以下を、お子様がアルバイトで給与収入のみを得ている場合で言いますと、給与収入が年間103万円以下となります。

なお、この年間の所得、収入は1月から12月の1年間の所得、収入となります。

社会保険のように、月換算で年間見込が・・・などはありませんので、この夏休みにガッツリとアルバイトをしたお子様がいらっしゃる場合でも、これからの働き方を調整することで、扶養控除の対象親族になり得たりもするでしょう。

ちなみに、扶養控除はどれぐらい受けられるかと言いますと、対象の親族がその年12月31日現在の年齢が16歳以上で38万円、対象の親族がその年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満のお子様の場合ですと63万円となります。

ただ、この38万円、63万円がそっくりそのまま税額としてお得になるのではありませんよ。

あくまで所得を計算するときの控除額ですから、38万円ですと38万円×税率分、63万円ですと63万円×税率分の納税額が抑えられるということです。

所得税は、所得により税率が異なりますので、お子様が扶養控除の対象になることで、どれぐらい税金が抑えられるかは、世帯主の方の収入・所得によります。

仮に、税率が20%なら、38万円の控除で76,000円、63万円の控除で126,000円税金が減るということです。

まとめ

ということで、本日は、扶養内の子どもの年収というテーマで、社会保険の扶養内でいるための年収基準と考え方、世帯主が所得税などを計算する際の扶養控除の年収基準について、お話をしてきました。

扶養内こどもの年収/夏休みのアルバイトでガッツリ稼いだけど大丈夫!?/年内の働き方どうする!?