※動画でご覧になりたい方は上記の『FPパパちゃんねる』よりどうぞ。

「児童手当」を既にもらわれている方は、市役所などから案内があったのではないかと思いますが、令和4年10月支給分以降から、児童手当に一部制度変更がありました。

当コラムでは、児童手当は初めてのお話になりますので、「支給対象者」「支給額」「支給時期」「制度運用上の変更点」について、詳しくご説明していきます。

支給対象者について

「支給対象者」は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子を養育している方になります。

なお、原則として、子どもが日本国内に住んでいる場合に支給されますが、留学のために海外に住んでいる場合は、次の3つの要件を全て満たすと支給対象者になり得ます。

  • 日本国内に住所を有しなくなった前日までに日本国内に継続して3年を超えて住所を有していたこと
  • 教育を受けることを目的として海外に居住し、父母と同居していないこと
  • 日本国内に住所を有しなくなった日から3年以内であること

また、子どもではなく、父母が海外に住んでいる場合、その父母が、日本国内で子を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に児童手当が支給されます。

あと、父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給されます。

振込先口座について

児童手当を振込で受け取る際は、子を養育している方の口座が受取口座となります。原則として、配偶者や子自身など、手当を受け取る人以外が名義人となっている口座で受け取ることはできません。

FPとして教育費準備などのご相談をお受けしていると、児童手当は子ども名義の口座で積立していますという方もいらっしゃいますが、直接、子ども名義の口座で児童手当を受け取ることはできないでしょうから、親名義の口座に振り込まれた後、引き出して、子ども名義の口座に入れ替えることになるかと思います。

我が家の児童手当の扱いについて(笑)

ちなみに、我が家では、私の口座に児童手当が入りますが、私の収入と見なして、児童手当分を引き出して子ども名義の口座で積み立てたりはしていません(笑)

というのは、子どもの教育費準備は、終身保険とiDeCo確定拠出年金で児童手当の金額以上に毎月積み立てをしていて、その積立原資は私の収入からしていますから、児童手当は私がもらっているということです。

なお、我が家の教育費積立については、左記リンクのコラム記事に書いていますので、よろしければご覧ください。

支給額について

話を児童手当に戻しますが、次は「支給額」についてご説明します。

令和4年10月支給分以降は制度変更があり、もらえなくなる人も出てきますので、要チェックです。

まず養育している子の年齢が3歳未満の場合は一律月額15,000円

養育している子の年齢が3歳以上で小学校修了前までなら月額10,000円ですが、第3子以降の場合は月額15,000円と5,000円多くなります

なお、この「第3子以降」というのは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している子のうち、3番目以降の子のことをいいます。

つまり、子が3人いるけど、1人目の子は高校を卒業しているとなると、児童手当で言う「第3子以降」には該当しなくなるということですので、ご注意ください。

そして、養育している子が中学生の場合は、一律月額10,000円となります。

これらが、いわゆる満額の児童手当になりますが、子を養育している方の所得が「所得制限限度額以上、所得上限限度額未満」の場合は、特例給付として一律月額5,000円が支給されます。

ちなみに、今までは「所得制限限度額以上」だと一律月額5,000円の特例給付があったのですが、令和4年10月支給分以降は、この特例給付が受けられる収入に「所得上限限度額」と呼ばれる上限ができます。

内閣府のホームページに分かりやすい一覧表がありましたので、引用させていただきますので、こちらをご覧ください。

引用元URL(内閣府HP)はこちらhttps://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html

一例としまして、扶養親族等の数が2人のところでご説明をしていきます。

例えば、子が1人と年収103万円以下の配偶者の計2人の扶養親族がいる方などですね。

このケースでは、所得が698万円未満ですと満額の児童手当がもらえますが、所得が698万円以上になりますと「所得制限限度額」を超えることになるため、児童手当は満額ではなく、特例給付の月額5,000円となります。

繰り返しになりますが、今まではこの規定のみだったのですが、令和4年10月支給分から、「所得上限限度額」というのができ、この扶養親族等の数が2人の場合で言いますと、所得が934万円以上になりますと、特例給付の月額5,000円も支給されなくなります。

なお、こちらの表にも記載の通り、所得での判断になりますが、それを収入に置き換えますと、目安としましては、扶養親族等の数が2人の場合なら収入が917万8,000円以上になりますと特例給付の月額5,000円となり、収入が1162万円以上になりますと特例給付の月額5,000円も支給されなくなるということです。

この収入の目安は、あくまでも目安でありますので、正確には所得での判断となる点はご留意ください。

支給時期について

原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当が支給されます。

例えば、6月の支給日には、2~5月分の手当が支給されるということですね。

なお、原則、申請した月の翌月分からの支給となりますが、出生日や転入した日が月末に近い場合、申請日が翌月になってしまっても、出生日や転入した日から15日以内であれば、申請月分から支給されます。

つまり、申請が遅れると、原則、遅れた月分の手当を受けられなくなりますので、注意が必要ということですね。

例えば、里帰り出産などで母親が一時的に現住所を離れている場合であっても、児童手当をもらうには現住所の市区町村への申請が必要ですし、転勤などで引っ越しをして他の市区町村に住所が変わったときも、転入した日あるいは転出予定日の翌日から15日以内に転入先の市区町村へ申請が必要ですのでご注意ください。

日本の社会保障制度は申請主義

ちなみに、私の経験上のお話をしますと、子どもが生まれた際に、市役所に出生届を出しに行ったら、児童手当の申請もするように教えてくれました。

ただ、日本の社会保障制度は申請主義と言いまして、自分で申請をするのが原則です。市役所の人が出生届を受け付ける際には児童手当の手続きも案内しないといけないという義務を負っているわけではありません。

あくまで自分で申請しないといけないとい点は押さえておきましょう。

現況届について

最後に、令和4年10月支給分以降、制度運用上、変更される点についてもお話しておきます。

それは、既に児童手当を受給している方の「現況届」についてです。

毎年6月に、「現況届」といって、家族構成に変わりはないかとか用紙を提出することで、児童手当が継続的に受給できていました。

その「現況届」の提出が令和4年以降は原則、不要となります。

市役所等で確認をする運用に変わったということです。

ただし、各市町村の判断により、引き続き現況届の提出を求めることも可能なルールですので、お住いの市町村の取り扱いに従って対応する必要があります。

ということで、本日は児童手当について、「支給対象者」「支給額」「支給時期」「現況届」について、ご説明してきました。

特に、令和4年10月支給分以降は、収入、正確には所得の金額により、特例給付さえもらえなくなる人が出てくることと、「現況届」が原則不要になる点が変更になります。

ご参考になさってください。