【2024年04月版】年金額&手当金等改定「年金が増える!!」もらえる額、払う額、停止になる額

【2024年04月版】年金額&手当金等改定「年金が増える!!」もらえる額、払う額、停止になる額

3月も中旬になりますが、来月4月になりますと新年度が始まりますので、様々な制度で改定・改正などが行われたりもします。

こちらでも随時お伝えをしていきたいと思いますが、本日は、その中で、年金額の改定並びに、各種手当金の金額改定についてお話したいと思います。

年金額の改定

まず、年金額の改定からお話をしていきたいと思います。

実は、この年金というのは、まず基本となる金額を計算する計算式があります。その計算をした後に、物価の上昇とか賃金の上昇に合わせて、調整率が掛けられて、最終的なその年度の年金額が決まります。

まず基本となる、物価及び賃金の上昇率と、年金額の改定の関係性をご説明しておきます。

こちらの厚生労働省の資料をご覧ください。
厚生労働省ホームページ「令和6年度の年金額改定について」より→https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00018.html

縦軸が賃金上昇率。真ん中より上がプラス、下がマイナスですね。
横軸が物価上昇率。真ん中より右がプラス、左がマイナスです。

そして、年金額改定との関係ですが、まずは4分割、大きく4つのケースに分けられます。
賃金上昇率がプラスの場合で、物価上昇率がプラスまたはマイナスの2つのケース。
または、賃金上昇率がマイナスの場合で、物価上昇率がプラスまたはマイナスの2つのケース。
これで4つのケースに分けられましたが、その中で、賃金上昇率と物価上昇率がともにプラス、またはともにマイナスの場合は、さらに2つに細分化されます。賃金上昇率と物価上昇率のどちらが高いか、またはどちらが低いかです。

ですから、こちらの表の通り、全部で6つのケースに分けられることになります。

令和6年度の年金額改定について

そして、今回の令和6年度の年金額改定においては、賃金上昇率と物価上昇率がともにプラスで、物価上昇率の方が高い、⑥のところに該当します。

この⑥の場合は、67歳以下の新規裁定者と呼ばれる人も、68歳以上の既裁定者と呼ばれる人も、上昇率の低い賃金上昇率の方に合わせて、年金額改定がされます。

というのは、年金の支え手である現役世代の方々の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率を用いて改定することが法律で定められているからなんですね。

さて、前置きの説明がこれぐらいにしまして、実際のところはどうなるかと言いますと、

令和6年度の年金額改定の参考指標としましては、

・ 物価変動率    :3.2%

 ・ 名目手取り賃金変動率 :3.1%

・ マクロ経済スライドによるスライド調整率:▲0.4%

だそうです。

以上から、低い方の賃金変動率3.1%に、マクロ経済スライドの調整率-0.4%が差し引かれ、年金額の改定率は2.7%増となります。

マクロ経済スライドとは?

なお、「マクロ経済スライド」というのは聞き慣れないかもしれませんが、将来世代の年金の給付水準を確保することを目的に、平成16年の年金制度改正により導入されたもので、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、

スライド調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除する、マイナスする仕組みです。要するに、年金の給付額を抑制するための仕組みとも言えるでしょうか。

令和6年度国民年金保険料・在職老齢年金

さて、令和6年の年金額改定率は2.7%増ということになりますが、具体的な数字で見ますと、こちらの厚生労働省のプレスリリースにもあります通り、国民年金(老齢基礎年金)が満額の場合は、令和5年度の月額66,250円から令和6年度の月額は68,000円と1,750円増となります。

なお、満額というのは、20歳から60歳になるまでなどの40年間、国民年金の保険料を納付している方となります。

厚生労働省ホームページ「令和6年度の年金額改定について」より→https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00018.html

こう言いますと、毎年のように質問コメントをいただきますので先に申し上げておきますが、直接的に国民年金の保険料を納めていなくても、20歳から60歳になるまでの期間で、会社勤めなどをしていて、厚生年金に加入していますと、国民年金にも加入していることになっていますので、ご安心ください。

また、令和6年度の厚生年金の金額は、こちらは例になりますが、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額としましては、230,483円となり、令和5年度より6,000円ほど増加となります。

ちなみに、国民年金(老齢基礎年金)は定額制の年金ですので、加入期間により年金額いくらか決まりますが、厚生年金は報酬比例年金でして、加入期間中の報酬額により払う保険料が異なります。

その結果、もらえる厚生年金額も変わってきますので、こちらの表では、標準的な年金額として提示されていますので、その旨、ご理解ください。

また、年金は4月分、5月分を合わせまして、2か月分が6月に振り込まれます。

ですので、6月に振り込まれた金額から年金が少し増えるということになりますので押さえといてください。

今、年金額の改定のお話をしていますが、年金についてあと2点、その後、その他の手当金についてお伝えしていきます。

年金についての1点目が国民年金保険料の改定についてです。

国民年金保険料は、法律で規定された金額は17,000円なのですが、名目賃金変動率に応じて、毎年度調整がされているんですね。

保険料月額は令和5年度が16,520円で、令和6年度は16,980円と460円増え、令和7年度は17,510円とさらに530円増えることになります。

国民年金に加入されている方は、ご留意いただきたいと思います。

年金についての2点目が在職老齢年金についてです。

在職老齢年金って何・・・という方もいらっしゃるかもしれませんが、働いてもらう賃金と年金の合計額が「支給停止調整額」という定められた金額を上回る場合に、年金の一部または全部が停止されるというルールです。

詳しくは、こちらの動画「【60歳以降の働き方】~得する人・損する人~」でお話していますので、ご覧いただければと思います。

「【60歳以降の働き方】~得する人・損する人~」

この年金が停止になるかもしれない計算式に使われる「支給停止調整額」が令和6年度は50万円となり、2万円上がるということです。

年金額が増えますから、年金が停止等になる基準も少し上げますよ・・・ということですね。

ここまでが年金のお話になりますが、よろしいでしょうか。

各種手当金改定

続きまして、各種手当金の金額変更についてもお伝えしておきます。

厚生労働省ホームページ「令和6年度の年金額改定について」より→https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00018.html

こちらの表の通りですが、物価変動に応じて手当金の金額を変動すると法律で規定されているものがあります。

令和5年度の物価変動率に基づき、3.2%引き上げになります。

例えば、障害者などに対する給付で、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給される特別児童扶養手当は、1級の場合ですと令和6年度は月額55,350円となり、令和5年度より1,650円増額されます。

また、年金生活者支援給付金法に基づく給付で、消費税率引き上げ分を活用して、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給される老齢年金生活者支援給付金の基準額は、令和6年度は月額5,310円となり、令和5年度より170円増額されます。

あるいは、母子家庭・父子家庭などに対して給付される児童扶養手当も、第1子が令和6年度は月額45,500円となり、令和5年度より1,360円増額されます。

【2024年04月版】年金額&手当金等改定「年金が増える!!」もらえる額、払う額、停止になる額