2008年にFP資格を取得して以来、FP相談をいただき続けていますので、FP歴14年目となります。

長くFP業界にいますと、FP同士の繋がりもでき、たまに他のFPから「ちょっと聞いてもいい」と連絡をもらうこともあります。

つい、先日も本日のテーマ「年子で生まれた下の子の育休は取れないの!?」と質問を受けました。

結論としては、要件を満たせば年子で生まれた下の子の育休も取れるです。

では、少し解説していきます。(解説の便宜上、年子の上の子を「年子第1子」、年子の下の子を「年子第2子」と呼びます。)

そもそも論として、育休と言っても、2つの視点があります。

それは、「休める」「給付金がもらえる」です。

「休める」というのは、法律(ちょっと長いけど正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)で一定の要件を満たす労働者の権利として育児のために休むことが認められている(事業主は拒むことはできない)ということです。

また「給付金がもらえる」というのは雇用保険の給付の1つで、育児のために仕事を休む一定の要件を満たす人に「育児休業給付金」を支払うというものがあります。

ですので、例えば週20時間未満で働いているパートの方などで雇用保険に加入していない場合は、育児休業は取得できても、育児休業給付金はもらえないということが起こり得ます。

つまり、育児で「休める」と「給付金がもらえる」には、それぞれ一定の要件があるため、イコールではないということですね。

では次に、「給付金がもらえる」ために必要な要件がいくつかあるので、今回のご質問に関連する点を1つ紹介。

育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上ある。

なお、この被保険者期間というのは、育児休業開始日の前日を起点として1か月ごとに区切り、その1カ月間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とするとの規定があります。

公的な制度の文言って分かりずらいですね。

語弊を恐れずにザクっと言うと、育休前2年間に「11日以上働いてお給料をもらった月」が12カ月以上あるとなります。

で、冒頭の質問「年子で生まれた下の子の育休は取れるのか」を考えてみます。

「休める」かについては、期間の定めがない形で働いている場合は問題なく休めます

一方、期間が定まった形で働いている方でも「引き続き雇用されている期間が 1 年以上」あり、「その子(年子第2子)が 1 歳 6 か月に達する日までに、更新後も含めて労働契約が満了することが明らかでない(つまり、働いてもらうのは○○日までと言われていたり、次の更新はもうないよと言われたりしていない)」場合は、育児のために「休める」対象となります。

一方、「給付金がもらえる」方は、上記の『育休前2年間に「11日以上働いてお給料をもらった月」が12カ月以上ある』がどうかという話なります。

そう、年子第1子の産前産後休暇や育休で、年子第2子の育休開始前2年間に、12カ月以上お給料をもらって働いている期間がないとなる可能性があるから、そういう場合は年子第2子の育児のために育休で「休めて」も「給付金がもらえる」には該当しないのかなぁという話です。

厚生労働省のホームページなどを見ても、明確に書いているところが自分には見つけられず、以下のような記載のみ確認できました。

(以下、厚生労働省ホームページ『Q&A~育児休業給付~ (mhlw.go.jp)』より転記)

第2子の育児休業開始時点において、受給資格を満たせば、第2子に係る育児休業給付を受給することが可能です。

育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(※)ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。

(転記、以上)

特に下段の転記内容を見て、年子第2子の「給付金がもらえる」方も行けそうかなぁと思いつつ、確証を得たかったので雇用保険を実務的に管轄するハローワークに電話で問い合わせ。

すると、「年子第2子の育休前2年間について、年子第1子の育休期間があり、無休で30日以上となる場合はその期間を除いて見ます」とのこと。

つまり、語弊を恐れずにザクっと言うと、年子第2子の育休前2年間について、年子第1子の育休期間が無休で9カ月あったとします。

このケースで言うなら、9カ月は除くとなるので、年子第2子の育休前2年9カ月の間に「11日以上働いてお給料をもらった月」が12カ月以上あれば良いとのことになります。

ですので、年子第1子が育休の「給付金がもらえる」なら、その年子第1子の育休期間で無休期間がどれだけあるかによりますが、年子第2子も育休の「給付金がもらえる」可能性はあると言えますね。

ご参考まで。

CFP・1級FP技能士&社会保険労務士 廣江 淳哉